【ケルト音楽とは?】北欧民謡を妙に懐かしく感じる理由を考えてみる

【ケルト音楽とは?】北欧民謡を妙に懐かしく感じる理由を考えてみる
みるみ

民族音楽、こと北欧の音楽が狂おしく愛おしい。死ぬほど好きなんです。

聴くたびに感じさせられるあのなんとも言えない心をくすぐってくる感覚がたまらなくて、冒険に出かけたくなったり、遠い故郷を思い出すような気持ちになったり、はたまたとっても寂しい気持ちになったり…。

今回はそんな「ケルト音楽」に対してのお話。

「北欧」と一括りにしてしまうのは忌避されることもあるようなので、今回は一応「ケルト音楽」に焦点を当てるということにします。

一応大ざっぱに付記しておくと、アイリッシュ音楽とかっていうアイルランド系の言葉をより広義に含んでいるのが「ケルト音楽」っていう言葉のようですね。

あの生まれる前から知っている音楽のような懐かしい感じ、

  • 「自分の身体にはケルト人の血が流れているのでは!?」
  • 「前世は北欧の人なのでは!?」

っていう感覚の正体はいったい何なんだろうか。色々自分の思っていることを話すがてら、たくさんの人の考えも聞いてみたいです。

この懐かしさの正体はなんなのか?

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「陽気で明るいんだけれど、独特の雰囲気を漂わせるあの郷愁感」はどこからやってくるのだろう?

見たこともない風景のはずなのに、音楽を聴くとそれに合わせた情景が鮮明に思い浮かんできて、よく映画とかにある「自分の故郷(くに)へ帰りたい」みたいな気持ちに押しつぶされそうになる。全然知らない土地や思い出のはずなのに

知らない生活と文化に思いを馳せて、でもなぜかそれが自分のスタンダードで自然な暮らしな気がして愛おしくなる。

例えば、こんなの。(この画面のまま再生できます)

あとは、こういうわちゃわちゃした楽しい酒場?みたいな雰囲気もたまんないよね!↓

実は、モンハンの集会所なんかはこのイメージを大切にしている。↓

ちなみに上2つの音源はケルティックバンドの「Lúnasa」という方たち。ケルト音楽は色々聴きますが、僕が持っている音源の中でもかなりお気に入りのアーティストさん。さっきのアルバムは以下のものです。

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僕はあまりにも北欧というものに恋い焦がれてしまって、学生の時にいきなり思い立ってフィンランドへ1週間くらい旅行へ行ったことがある。

目の前一面に広がる湖や木々の中で、日本とは匂いも味も違う空気をたくさん吸い込む。しあわせな時間でした。

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ここはたしかホテルのまわり。レンタサイクルもあって最高でした。

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この恐ろしいほど美しい夕焼けは、なんと夜中の22時半くらいです。季節的に白夜ではないけど、デフォルトで昼間が長いんです。

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散歩しているとたくさん出会う「なんとかベリー」。なんとフィンランドには「野生のベリー類を勝手に食べていい」っていう法律があるんです。

なんだけど、結局それは「旅行」っていう非日常的なものとして僕の頭では処理されてしまったせいで、残念ながら今までたくさん感じていた郷愁感を味わい尽くせるものにはならなかったのよね。というか「旅行としてなんとかこの記憶を刻みつけなきゃ!」みたいな義務感みたいなものすらあった気がして、こういうときは自分の理屈臭い頭をぶっ飛ばしたくなる。

将来的には、何度も何度もこういう場所へ訪問して、本当に自然にそこに居られるような感覚を楽しみたい。人生の夢です。

こういうの聞くと、海外を夢見て壮大な冒険に出たくなっちゃったりしません??

音楽的特徴から考察してみる

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ぶっ飛ばしたくなる理屈頭だけど、そのおかげか「物事に対する理屈の通った納得できる理由が見つかるとすごく嬉しい」ので、今回も音楽的特徴からその秘密を探っていってみたい。

音階

音階とは音の並びのことだけれど、これの並び方によって音楽の「雰囲気」が変わってくる。日本の伝統的な「四七抜き」とか朝鮮民謡の「アリラン」とかって言えばイメージが湧くだろうか。

伝統的な音階

ケルトの伝統的な音階も実は5音階で、なんとこれは日本の四七抜きと同じなんです。四七抜きとは四番目(F)と七番目(B)の音を抜いた音階のことで、要は「ドレミソラ」になるということ。

まずひとつ、なんだか懐かしさを感じる理由がここにありそうですね。

ただ、僕らがよく耳にするケルト音楽もこのドレミソラしか使っていないかというと今はそうでもない。その辺もふまえて次の項を読んでほしいです。

旋法

ただし、今回はピアノでいう白鍵しか使わない音階になる。そして、概ねケルト音楽の基準となる音はD。つまりDから白鍵だけを辿っていく D E F G A B C D という音階になる。これをドリア旋法と呼んでいて、特にDから始まるものを「Dドリア」なんて呼んだりすることもある。

ちなみにこんな音階。それっぽい楽器で。↓

こうやって聞くと、あの明るい音楽に隠れている物憂げな感じがただの音階の中にたしかに出ているでしょう?
音階って音楽の雰囲気を決定付けるいかに大切な要素かがよく分かるよね。

ただし構成音自体はC durやA molと同じなので、B→Cみたいな解決をやってしまうと明らかなハ長調の音楽になってしまったりするゆえ、この音階だから必ずしもケルト音楽っぽくなるという訳ではない点に留意する。

ちょっと難しいことを言っていますが、要は「使っている音が同じ調が他にもあるので、メロディの進行によってはドレミの歌みたいにもなっちゃいますよ」ということです。

で、僕はこの音の並びの時点で既に懐かしさというか儚さみたいなものを感じるんだけど、みなさんはどうでしょう?

もしそうだとするなら、「この音階が持つ雰囲気そのものがもうそういうもの」ってことなのかもしれない。

…ってするとこの記事が終わってしまうのでもう少ししゃべらせてください(無計画

拍子、リズム

これは懐かしさの原因探りというより単に僕の好みと考えから話す話なのだけれども。

三拍子

まず、ケルト音楽に限らず民謡は三拍子のものが多い。三拍子はワルツからも分かるように舞踏の音楽なので、民謡を演奏するような機会→踊る→三拍子がやりやすいという図式が成り立ちやすい、のではと僕は昔から思っている。

中でもケルト音楽では6/8拍子の音楽がかなり多い。理屈では同じ三拍子なんだけど、3/4とはやっぱり全く違うものです。

この「拍子が約分できる関係にあるときのお互いの"違い"」っていう話は長くなるから割愛するけれども、とにかく「忙しくてせわしない感じは6/8拍子の方がより表現しやすい」ということが今は大切。基準となるビートが短くなるのでノリが軽くなる、っていうのが重要なポイントです。

それこそ酒場のわちゃわちゃした感じとか賑やかな踊りの音楽にはもってこいなんです。

タップダンスなんかの動きが細やかで素早い音楽にも非常にあっている。みなさんもよく知っている例を挙げるなら間違いなくこれでしょう!リバーダンス。

もう僕はリバーダンス大好きなんです!特に前半のボーイ・ソプラノのような雰囲気がたまらなく好き(タップダンスとかの例で出したのにごめんなさい笑)。
エンヤとか知っている方は近しいものを感じるでしょう。ちなみに吹奏楽アレンジだとここはフルートなんだけど、さらにたまらない。

しかも、6/8の例として挙げるにはちょっと変拍子すぎたかも。笑

しかしリズムや構成としては非常に良い例です。同じフレーズの繰り返しや打楽器を根底としたリズムの展開などはケルト音楽の雰囲気づくりとして完璧である。素晴らしい!

でももちろん、三拍子じゃなくて四拍子のものも多い。今のところこの記事に貼ってある楽曲もリバーダンス以外全て四拍子だし。

構成

それとさっきもちょろっと言ったけど、ケルト音楽の特徴として「同じフレーズを何度も繰り返す」っていうパターンも非常に多い。これは、「踊っているときに演奏を途絶えさせないためと同時に、いつでも今の演奏をすぐに終わらせられるため」だと僕なりに考えています。

「盛り上がっていって盛り上がっていって…はい、ここで終わり!」っていうような踊り方をすることが多い文化というか音楽なので、いつでもタイミングよく終われる状態が望ましいのかなと思っているんだけど、どうでしょう。

あとは単にすぐに次の曲へ移れるため、とかなんじゃないかなとも思っている。

事実僕が持っているケルト音楽系の楽曲のノリがいい系は、どれもいきなりスパッと曲が終わる。まさに映画とかで流れそうなイメージ。

楽器

最後はここ、ケルト音楽で主に使われる楽器について。これはけっこうイメージがつく人が多いのかな?

ティンホイッスル、アイリッシュフルート、アイリッシュハープ、フィドル(バイオリン)、マンドリンなどなど。バグパイプもそうだね。あと忘れちゃいけない、民族音楽において重要な要素となる打楽器群。

でも僕がティンホイッスルを買ったときは「指使いの種類がそんなにないから、基本的には吹く曲の調によって楽器も移調させてね」ということで、ほぼ全調のティンホイッスルが売っていた。僕が買ったのはEs管(Eの♭)。これで演奏できる曲が多かったので。音域もそんなに広くはない(息をめちゃめちゃ入れるとオクターブ上がるけどかなり苦しい)。

ちなみに持っているのはこれ。

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一応参考までに どぞ。僕は知り合いから楽器屋さんに卸してもらいました。(これはD管です)

これら笛の音が聞こえると一気に北欧を感じさせる音楽になるよね。よくよく思い返してみると、「ああ~いい曲だなあ~」って思うときはだいたい笛の音が鳴っていて、僕はたぶん笛の音色が自分でも信じられないくらい好きなんだろうなと思った。

ティンホイッスルだと分かりやすいのはタイタニックとかだろうか。これはいいところを全部ソプラノサックスかな?が持って行ってて、う~んって感じだけど。↓

篠笛とかと一緒で、同じ音の区切りはタンギングではなく指打ちという方法を使うことが多くて、このときにちょっとだけ聞こえる別の音程がいい"味"を出すんです。譜面上、装飾音符なんかが多いのもこうした奏法の特性から来ていると言えると思う。ケルトっぽさが如実に現れるよね。

さっきのリバーダンスなんかはほんとに良い例で、この辺の楽器や奏法はだいたい全部使われている。もちろん打楽器も込みで。

あとがき

まあ始める前から分かってはいたんだけれど、当然のことながらそれらしい理由なんか見つかりもしませんでした(期待させるようなタイトルにしててすみません…)。
強いて言うならドリア旋法をそれっぽい音で聞いただけで「例の感じ」がしたので、やっぱりあの音づかいがそう感じさせるのかなと思います。

実は個人的には、「なんでこんなに懐かしい感じがするのか」っていうより、単に「なんでこんなに好きだと思うのか」の方が謎でした。

でもこの記事を書くときに色々聞いたりしていたら、「曲が流れた瞬間からそれを感じる」ので、ケルト音楽に使われる楽器群や音色がすごく好きなんだろうなと思った。あとは和音とか響きかなあ。

とにかく、好きだったケルト音楽のことについてあれこれ書けたので自分としてもスッキリした!。冒頭でも言ったけど、みなさんが考えていることも聞けたらいいなあなんて思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました!それでは!

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

この「みるめも」というブログの筆者です。

この記事へのコメント

僕はモンハン3rdのユクモの感じが好きで調べてたら近いものにケルト音楽があり好きになりました。なんでこんなに惹き付けられるのかなって疑問だったのでいろいろ知れて良かったです!

コメントありがとうございます。
ちょうど記事内でもモンハンの音楽を取り上げていたので、お役に立てたようでよかったです。

ゆったりした感じもとってもいいですよね~

タイタニックや無印良品で流れているのを聞いて、この切ない感じだったり、はたまた踊りだしたくなっちゃうような懐かしく陽気な感じに、
これはなんていう音楽なんだろう?と調べるうちにこの記事にたどり着きました!

聞いていると、山や湖や酒場の風景が
見たこともないのにわって浮かんできて、
ほんとに自分は前世はそこで生活していたのではと思っていましたが
みんな同じことを感じてたんですね

北欧いつか行ってみたいです!
ケルト音楽たまりません

コメントありがとうございます。

タイタニックからケルト音楽へと繋がり、僕の記事へ来てくださったんですね、ありがとうございます。

本当に同じことを思うんですよね笑
僕も僕だけかと思っていましたが、これが音楽の持つ力ということなんでしょう。

ケルト音楽、素晴らしいですよね。北欧に行かれた際には、ぜひ大自然の中でお気に入りのケルト音楽を聴いてみてくださいね。

こんにちは。私は塔の上のラプンツェルの"王国でダンス"が好きです。暖かい雰囲気の中にも活気があります。
実際に北欧に行かれたなんて素敵ですね。
具体的におすすめの曲があれば教えていただきたいです。

コメントありがとうございます。
ラプンツェル!たしかにあれは全体的に北欧のイメージがありますね~。
しかしそんなももさんにさらにおすすめなのは、メリダとおそろしの森です。ドンピシャケルト音楽ですし、風景も美しくて素晴らしいですよ。

私も全く同じ感情?を持っていて、共感者がいたことにすごく驚いています!!勝手に嬉しいです(笑)
私もこの感情にずっと疑問を持っており…
リバーダンスも数年前の日本来日の際に見に行き、感激ものでした。
近い将来、アイルランドへ行って本場の生音楽を聞くのを目標にしています。
そのときに何かしら疑問の答えが見つからないかな?とも思っています(^^;
その日がとても楽しみです。

コメントありがとうございます。

実はこの記事はかなり読まれているので、「ケルト音楽を聴いたらほとんどの人がそう思うんだろうな」ということを、僕も公開後に知りました。笑

リバーダンス、いいですね。DVDボックスは昔買ったことがありますが、生でも見てみたいものです。

北欧は初めてでしょうか?僕も夏に行ったときの夜22頃の夕焼けは一生忘れられないものでした。ぜひ楽しんできてくださいね。

[…] なぜ人々は北欧音楽に恋い焦がれてしまうのかなんていう記事も書いたりしてましたし、「北欧の地へ!」というのは心からの夢でした。 […]

こんにちは!ケルト音楽大好きな音楽家、研究者です。
記事を拝読して1つ思ったことなのですが、北欧はスカンジナビア半島辺りの事を指すので、ケルト文化圏ではないですよね。ケルト人の国があったわけではないので、全くケルト音楽が伝承されていないわけではないと思いますが、また違った文化圏なので「ケルト音楽」についての記事であれば、北欧という表現は間違いだと思います。ケルト文化圏は正確に言うと、アイルランド、スコットランド、マン島、ウェールズ、コーンウォール、フランスのブルターニュの6つの地域の事なので、北欧は当てはまりません。
ケルト風音楽(ケルティック・ミュージック)であれば、広義なので北欧も当てはまるかもしれませんが…

北欧=ケルト文化圏
という誤った解釈をしてしまう方がいそうなので、指摘させていただきました。お気を悪くされたら申し訳ありません。

はじめまして。専門家の方でしょうか?コメントいただき感謝申し上げます。

ご指摘のような内容は、いずれどなたかから受けるかなーと思ってはいました(自分の理解度の低さを含めて)。
それの回避も込めて記事冒頭でそれらしいことを付記してはいましたが、もっと妥当な表現があるということですよね。
よろしければ適切な表記をいくつかご提案いただけるととても嬉しいです。記事のタイトルはなるべく変えたくないという事情があるので、本文内での注釈で対応可能ならそのようにしたいというのが本音です。

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