Googleマップがゼンリンと契約解除!?カーナビの需要は復活するか、Googleの狙いと今後は?

Googleマップがゼンリンと契約解除!?カーナビの需要は復活するか、Googleの狙いと今後は?
みるみ

2019年3/21(木)の夜あたりから、Googleマップでの表示不具合が多数報告され始めたのがことのはじまり。

実際、僕も自宅近辺や子どものころにいたよく知っている地域の地図を見たりしましたが、なんだか見慣れた道路の形が変わっていたり、知らない街路地がニョキニョキ気持ち悪く伸びていたりと違和感がありました。

日常生活においてかなり広く使われているツールであることは間違いないし、インターネット上の地図インフラもGoogleマップによって提供されているものはとても多いです。

中でも特に困る人は「Googleマップでカーナビゲーションをさせている人」じゃないかなと思いました。
今回はその他色々思うことを僕の視点で書いています。

問題の概要

今回の話の内容はいたってシンプルです。

Googleマップの地図データ供給元として提携していたゼンリンとの契約が解除(?)され、地図の表示内容に様々な問題が発生している

ということです。

?としているのは、ゼンリンと正式な提携解除に至ったのかは現時点では公式の情報がないためです。

しかしGoogleマップのページからも右下にあったゼンリンのコピーライトがなくなっているのでそれに近しいことなのでしょう。

googlemap-update-zenrin-delete

Googleは少し前の2019年3月6日に「日本向けのGoogleマップを一新させる」と発表していました。
ソース

このときの発表内容では、

信頼のおける第三者機関から提供される情報、最新の機械学習技術、地域のユーザーからのフィードバックなどを活用した、より柔軟かつ包括的なもの

とされていました。

中でも注目すべきは「最新の機械学習技術、地域のユーザーからのフィードバックなどを活用」という部分です。

実際の不具合状況は「機械学習とユーザーの追跡」が裏目に出ているような感じ

今回のアップデートによるネット上での「悪評」は、元々用意している地図データがどうこうというより、Googleが提案する「最新の機械学習技術、地域のユーザーからのフィードバックなどを活用」がうまく働いていない / もしくは過剰に働きすぎているからのような気がします。

例を見てみましょう。

googlemap-failed

これは、「航空写真で山の影となり暗くなっていた部分が、そのまま海かなにかかと認識されていきなり大きな湖ができたようになってしまった」状況です。

まさに機械学習の未学習状態みたいな感じですね。

googlemap-failed2

こっちは、最近話題の「コンビニワープ」(コンビニなどの駐車場内を信号回避のためにショートカットすること)があまりにも多すぎるせいで存在しないはずの道ができてしまった状態。

「ユーザーからのフィードバック」にあたる、おそらくAndroid端末(Googleアカウントにログイン中のiOS端末も含むかも)が通過した場所を拾っているのだと思われますが、見事に当てが外れています。

こちらは「バス停が消えてしまった」状態。

こういったツイートにもある通り、主な被害を受けているのは

  • バス停
  • 誰も通らない道(フィードバックがないから)
  • デジタル的なデータが拾いにくい場所(山間部など)

といった具合にまとめられる気がします。

 

僕がこの件を受けて初めてGoogleマップを開いたときに思った第一印象は「なんだか全部角丸っぽくて、道がふにゃふにゃしていて気持ち悪い」でした。

この理由は地図データの作り方、ノード(交差点などのこと)とルートの繋ぎ方など、そもそもの設計フレームワークが違うらしいから、です。ここは一切確証が持てないので断言はしないでおきます。

googlemap-update-zenrin-delete-where

自宅まわりが一番良い例だったのですが住所晒すのはアレなので適当なところで…

特に、この「路地から伸びる細かい行き止まり」がなんだかラピュタのロボット兵みたいで不気味です。

rapyuta-robot-soldier

上記の例の通り、こうなってしまった原因はまさしくGoogleが地図作成アルゴリズムとしている「機械学習とユーザーからのフィードバック」だと言えるでしょう。

しかしこれは一過性のものかもしれません(軽く後述しています)。

カーナビで利用している人はどう困る?

navigation-smartphone-app

昨今のスマートフォン事情によって、「カーナビなんか使わずにスマホの地図アプリでいいや」という風潮はとってもあります。僕もネットだけではなく実感として感じます。

個人的には、色々総合してカーナビ推奨派(純正かどうかとかは関係なく)なんですが、今回の件で困る人が出てくるのは事実でしょう。

特にGoogleマップをメインに使っている人には非常に迷惑な話ですが、アプリである以上別のものに乗り換えればいいだけという側面もあります。実際Yahoo!カーナビはナビゲーションとしてとても優秀ですしね。

ただ、他のGoogleサービスとの連携やその他「オリジナリティある使い方をしている」など、簡単に解決できないという人もまた多くいるでしょう。

意外と車の運転にのみ使っている人にはメリットあるアップデートかも?【僕の意見です】

ただ、今回の僕オリジナル意見としてこんなことも思っています。「車のナビゲーションにGoogleマップを多用している人にとってはかなりありがたくなるかも?」と。

  • 「細い道がなくなった」
  • 「誰も通らないような道がなくなった」

ということは、運転中の無理なルート案内が必然的になくなっていくということ。

歩いているときならまだしも、Googleマップの無茶な冒険ルートを車で案内されたときの絶望感といったらありません。僕は「横幅の猶予5cmくらいのスレスレの土手道を走らされた挙げ句に実は奥は行き止まりでそのままバックさせられた」とかいう苦い思い出もあります。

その他、田んぼのあぜ道とかはしょっちゅう走らされますよね。「そういうのはない方がいい / 少なくとも選択はさせてくれ」と思っていたので、デメリット100%というわけでもなさそうでは?ということが言いたかったです。

Googleの中での無料消費の時代は終わるのかも

google-wallpaper

Googleがなぜそこらの有料サービスより優秀なサービスをいくつも無料で提供しているかというと、それは「ユーザーの生情報が喉から手が出るほど欲しいから」です。

彼らはユーザー(というよりもはや「人間」と言った方がいいのかも)の行動、兆候、趣味、個人情報などありとあらゆるデータを集め、それをマーケティングに活かします。だってGoogleは広告企業ですから

Googleの最初の目的は「まずユーザーを集めること」

そのためにまずは生のデータが不可欠です。それも大量で、かつ嘘偽りない「生のデータ」が。

そのためにたくさんのサービスを展開しているんですよね。Googleマップもその一環です。まず間違いなく。

そう考えると、Googleが他社との提携を永遠に続けながらその無料サービスを提供し続けるというのはやや考えにくいです。というか、得続けているその「データ」を使って自社運用に切り替えていくのは至極当然とも言えます。

Googleマップのシェアは僕なんかでは数字の想像がつかないくらいの量・数・種類でしょうから、これだけのユーザー数を手に入れたGoogleは次のフェーズに移っていくのかもしれません。

渇いたカーナビ業界に潤いを与えてくれるか

これがカーナビ市場に与える影響は微々たるもので終わってしまうのかどうなのかは正直分かりません。

カーナビ業界で歴史も人気もトップを誇っていたパイオニア(carrozzeria)も事実上の経営破綻で投資ファンドの傘下に入ることが決定しましたし、決してカーナビの売れ行きは良くないというのが背景です。

なので、今回の件を受けて、「やっぱりカーナビや地図は専業メーカーじゃないとな!」という流れが少しでも回復してくれるといいなあ、と僕は思っています

実際、カーナビアプリとして人気がある「Yahoo!カーナビ」は今回の一件とは関係ありませんが、「今後も無料Web地図サービスだと同じようなことがあるかも…」と多くの人が思い始めていることもネットを見ているとよく分かります。

Googleはなぜこのような決断をした?

結果に対してあれこれ言っても仕方ないですが、ここも簡単に書いてみます。

先ほど話した「ユーザー集めの話」を除いて、大きく2つあると思っています。

1.「オフラインマップ」実装にまつわるゼンリンとの契約内容

これはネット上でも言われているのでもうご存知の方も多いかもしれません。

Googleは「オフラインマップ」というものを実装したがっています。

要はネットに繋がなくても地図が見られるようにしたいということです。

開くたびにその時点での最新マップをキャッシュするのか、あるタイミングでオフライン用マップを配信するのかその仕組みは全く定かではないですが、「これを欲しがるGoogleをなぜかゼンリンは嫌がった」ということのようです(僕の調査不足かもしれません。間違っていたらご指摘ください)。

ここに関しては前述した「Googleマップ一新の発表」の際にも触れられていて、おそらくGoogleはかなり前から目論んでいた内容だと思われます。

ゼンリンがオフラインマップの供給に関して首を縦に振っていたら、きっとGoogleは、少なくとも今は提携解除しなかったでしょう。

2.Googleにとってはこの問題は一瞬のこと。彼らはもっと先を見ている

これは完全に僕の予想で、はずれる可能性も大いにありますが、このあとそう長くはない時間でGoogleマップは以前と同じ水準にまで改善されると思います。

googlemap-update

実際、明らかに異常と思われるような部分はすぐに直っています

天下のスーパー覇権企業が、「とある会社のサービスと提携をやめることで自社商品の品質が落ちること」を予想できないわけはありません。

そもそも機械学習やフィードバック制御ってスタートし始めは精度が低いものですし、ましてやGoogleの技術力を考えればこの先しばらくは見(けん)に回ってから判断をするのが妥当と思えます。

きっと彼らはもっと、いや、もっともっと先を見ていて、地図が正しく表示されるのなんて当たり前、そしてその先にさらなるビジネスと新たなライフラインを計画しているんでしょう(していて、お願い)

 

…そうは言っても、ゼンリンって「自分たちの足だけで測量した確かなデータがウリ」なので、そこに敵うまでにはもっと時間はかかるかもしれません。

zenrin-map-create

さてさて、これからどうなるんでしょうねえ。しばらくは色んなところでボヤが起きそうです。

あとがき

珍しく(というか初めて?)このブログ名義で「ニュースに則った内容」について書きました。いわゆる「トレンドもの」に入るかもしれません。

カーナビというカテゴリにかなり近い話題だったのもありますが、僕にとって個人的に色々衝撃を受けるニュースであったからという理由が大きいです(記事の内容とは関係ないのでそれについて今回はお話していません)。

本文中にも書きましたが、これから同じような変化が色々なところで起こってくると予想します。

特に「インフラ」とも呼べるレベルで爆速に普及したGoogle関連のサービスは、「情報」という「仕入れ」が一段落迎えてきて次なる一手に進むタイミングです。

なんでも無料で便利を享受できる時代はすぐに終わりを告げるのかもしれません。

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

この「みるめも」というブログの筆者です。

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