吹奏楽における最適な打楽器セクションの配置を考えてみる

吹奏楽における最適な打楽器セクションの配置を考えてみる
みるみ

ときおり友人と話題になるというかよく訊かれるのが

打楽器って左側にいるのと後ろにいるのどっちがいいの?

なんですが、なるほど確かにちゃんと考えたことなかったなと思ったので今回やってみます。

ついでに「セクション内での楽器配置」もどうやったら一番理に適うものになるのか考えてみましょう!楽しそう。

久しぶりに自由に書いてみまーす!

参考にするのはやめてください。笑

前提

はやくも上記の目次の最後の方に記事の内容を全部ぶっ壊すような見出しがチラ見していますが、まあ気にしないことにしましょう。

まず今回考えてみるにあたっていくつか前提を置きます。

吹奏楽団体であること

「オケはどうなの?」とか「弦楽器がいる場合は?」となると事情は変わってくるし、あくまで吹奏楽を話のベースにします。

演奏する楽曲も吹奏楽団体で一般的に演奏されるものであること

編成のジャンルではなく、今度は演奏する楽曲のジャンルですね。

ゴリゴリのビッグバンドはやらないし、ジャズもやりません。ただしドラムやベースはよく居る人たちなので考慮します。

中~大編成

人数によってセッティングが変わるのは当然なので、これも標準的な規模を前提にします。

コンクールを基準にして、だいたい50~65ってとこでしょうか。まあそんなに人数によって結果が大きく変わるとも思わないんだけど。当然打楽器の人員も標準的なものとします。

使う楽器

「ウィンドマシーンは置きません」とかそういう話ではなく、「普段使うようなシンプルなものは全部検討の範囲に入れますよ」ということです。

一応挙げておいてみる。

  • スネア
  • シンバル
  • バスドラム
  • ティンパニ
  • どら
  • シロフォン
  • グロッケン
  • ヴィブラフォン
  • マリンバ
  • チャイム
  • サスペンデッドシンバルや小物とかあの立ち位置系
  • (ドラムセット)

こんなもんでしょうか?フォートムとかが微妙だな。まあいいか。

打楽器パート全体の位置はどこにすべき?

というわけでまずは「打楽器パート全体はどこに置くべきか?」から考えてみましょう。

選択肢としては

  • 舞台に向かって左側(下手)
  • ひな壇の上段、トランペット・トロンボーンより後ろ
  • 舞台に向かって右側(上手)

という感じだと思いますが、ネタだとしても右側に打楽器がいるものは見たことがないのでさすがの今回も考えるのはやめましょう。

「一部の楽器だけ右にもいる」というのは僕自身も演奏経験はあるけど、さすがに全体はない…よね?

というわけで「左か後ろか?」を考えればいいわけですね。

両者のメリット・デメリットをまとめていってみましょう。

ちなみに「後ろ」については全部がひな壇上ではなく鍵盤類は下手しもてにいるのが王道パターンなので今回もそういうことにします(そもそも全部は量的に乗らない)。

左側のメリット

  • バンドの中に混ざりやすい、周りの音を聞きやすい
  • 他のパートとアンサンブルしやすい
  • 打楽器内でアンサンブルしやすい
  • 比較的指揮者と近いのでオンタイムで叩いてもズレにくい、後取りのクセがある人も影響が出にくい
  • 世間一般での採用率が高いので、どこへ行っても適応できる能力がつく、困りにくい

左側のデメリット

  • 一般的に「前列にいる楽器(スネア系)」とその他の太鼓系ではアンサンブルがやりにくい
  • 後ろに反響板があるのでホールによっては音量バランスに気を遣う(特に金物)
  • 低音セクションと遠くなる

後ろのメリット

  • 確実なテンポキープ役を遂行できる
  • バンド全体に打楽器を乗せるような(逆?)サウンドを作りやすい
  • マーチがやりやすい
  • 一番上に居られるし眺めも良いので支配欲求が満たされる(笑)

後ろのデメリット

  • まわりの音を聞いて自分が入っていくスタイルしかできないとバンドがぶっ壊れる
  • 鍵盤類とアンサンブルするのが難しい
  • 楽器によってはブレンドせず生音で客席まで飛んでしまうことがよくある
  • 管楽器の人は慣れてないとやりにくい?(ですか?)

結論!

もちろん「どっちが良い」なんてのはここで決められないしあるわけもないんですが、ここは僕個人の好みと経験から左側を採用したいと思います。

主に決め手となった理由は以下。

  • バンド内への混ざり感
     →やっぱりバンドの外側にいるより内側にいる方が安心感もある。アンサンブルもしやすい
  • 指揮者(と管楽器全体)との距離が近い
     →指揮の打点に対して微妙なコントロールをする能力が十分ではない場合、離れるのは致命的と感じます。僕は後取りなのでスネアをやるときに後ろセッティングだとかなり気を遣います

単純に後ろは経験回数もそこまで多くないのもあって、やっぱり緊張しますね~。

ただし眺めは良いし自分の主張もどストレートに飛んでいく感じは正直病みつきです。笑
楽しかったなあ。

それと、やっぱりどこへ行ってもだいたい同じ形態になっているっていうのは大きなメリットですよね(左側セッティングが)。慣れないことはしない方がいいものです。僕らだけじゃなくて管楽器の人も困っちゃうかもしれないし。

あと、プロが関わるバンドは後ろにいるケースが多い気がします。これはオーケストラの打楽器が後ろにいることが多いからなんじゃないかと思ってますけどどうでしょう。やっぱり彼らも慣れている方を選ぶのかな?

というわけで

無難は配置はやっぱり舞台左(下手)側!

ということになりました。

打楽器パート内での楽器配置は何が最適?

じゃあ今度はその中でどういう楽器配置にする?というのを考えてみましょう。
一番楽しいところ。

何から考えるのが正解か少し迷いましたが、やっぱり優先度が高いものから決めていきましょう。

percussion-setting-setting-sheet

この画像にどんどん書き込んでいきます。

まずはティンパニ。

percussion-setting-setting-sheet-2

これは当然ひな壇の下段に置きます。仮にひな壇がなくても近いところに置くでしょう。

次は…バスドラム?

percussion-setting-setting-sheet-3

これもここ以外はほぼ見かけない…と思う。

稀に

percussion-setting-setting-sheet-4

こういう感じでティンパニがバスドラムの後ろにいるようなものは見る気がしますが(ひな壇があったとしても)、これは意図がよく分からない。バスドラムの後ろもそんなにスペースがあるわけでもないし、これはイレギュラーと言うべきでしょう。

バスドラムが決まるとシンバルは隣ですよね。

percussion-setting-setting-sheet-5

こう。
ここまでは異論ないはず。

次からが難しい。そう、「スネアをどこに置くか?」という話なんですよね。

多くは次の三択になると思います。

①前列の一番バンド内側

percussion-setting-setting-sheet-6

②バスドラム→シンバルと来たその並び

percussion-setting-setting-sheet-7

③鍵盤も含めて前列の一番客席側

percussion-setting-setting-sheet-8

これは①→②→③の順で一般的だと思います。でも③なんて実際はほぼ見ないですけどね(コンクールの地区大会とかを見てるとたまにいる)。

①と②は結構派閥が分かれる気がしますね…。今回で一番苦労するのはここかな?

僕はどちらも経験がありますが、概ね次のようなイメージです。

①:
数的には一番ポピュラー。後列とのアンサンブルは少しだけ微妙だが、スネアから合わせにいくことはあまりないし、どちらかというと管楽器と近いことの方が重要性を感じる。特にホルンとトランペットと近いのが魅力的。

②:
マーチをやるとき、こっちはこっちで太鼓でバッチリまとまれるのでこれはあり。ただしスネアだけ客席に近づきすぎてしまい、上手く打楽器セクションとしてサウンドがまとまりにくいと感じることがある。単純に疎外感を感じることも。

という感じで、僕は①を推したいです。

percussion-setting-setting-sheet-6

なぜこういうセッティングが最も多く見られるのか、誰からも説明をされたこともなかったけれども、やっぱり一番理に適った状態になっているってことなんでしょうね。

続けましょう。

次は小物類にしてみます。サッシンも含みます。

これは

percussion-setting-setting-sheet-9

※四角いのは小物台的なのを適当にイメージしてます

ここか

percussion-setting-setting-sheet-10

ここかな?

しかしこれは曲によってはどちらも必要になることがあるのはもちろん、各楽器それぞれにシンバルや小物台を置かなきゃいけないこともしょっちゅうありますよね。なのであまり固定の場所を決める意義は感じないのが正直なところ…。

percussion-setting-setting-sheet-9

経験的にはこっちが最も普通かと。

理由は

  • 金物系の楽器を扱うことが多いので前にいるとうるさくなりやすい(前述の金物の件は気にしないといけないけど)
  • 頻繁に動く人はなるべく後列にいた方が色々都合が良い
  • ここまでのセッティングの決定上、前列の幅が足りなくなる

などです。鍵盤の話がまだですが、鍵盤の配置は動的である上にわりと自由度が高いのでこの時点で上記のように考えても問題ないと思っています。

というわけで鍵盤類にいきましょーう。

今回扱う鍵盤は

  • シロフォン
  • グロッケン
  • ヴィブラフォン
  • マリンバ

の4つ。
チャイムは別枠で考えるのと、クロテイルやチェレスタは除外しましょう。

で、この4つの配置ですが、曲によって左右される部分が大きいので解を1つにするのがとても難しいです。

ただし必須と思える条件から挙げていくことはできると思います。

  • グロッケンはまず音量に注意すべき楽器なので客席側には置けない
  • マリンバは幅を取るので1列に1つが基本
  • シロフォンとヴィブラフォンは比較的対応力がある

という感じ。

3列の採用をするかによってもだいぶ結果が変わってくるんですが、例えば一般的なマーチを演奏するとしたらこんな感じが一番良いのでは?

percussion-setting-settinpercussion-setting-setting-sheet-11g-sheet-11

手書きクオリティ、許して。

※追記:まさかの鍵盤の高い/低いが逆になってましたww
相変わらず僕はアホなことをやっているなと再認識しつつ、直すのはダルいのでこのままでいきます。

シロフォンとグロッケンは逆でもいいかと思いますが、マーチでの役割を考えると客席側に置くのはグロッケンが良さそう。ヴィブラフォンはあんまり使われないし(爆)、使っても硬いマレットで叩くことは少ないのでこのポジションが安定しそうです。

場所を取るマリンバは後列に。

ただしこれは曲によって大きく変わる部分だと思うので、本当に一概には言えないと思います。例えば金物サウンドが頻繁にアンサンブルをするなら

percussion-setting-setting-sheet-12

チャイムも合わせてこんな風になるかもしれないし、みたいな。マリンバがでかい分チャイムとの相性によっては奥行き(列数)を増やすのが必須にもなるので大変です。

「最適解を見つける」ってのはやっぱりそもそも無理そうですね(趣旨崩壊)

なお、打楽器のセッティングにおいて「3列」というのはホールを選ぶのであまり積極的に採用すべきではないと思っています。

やるにしても

percussion-setting-setting-sheet-13

このようにマリンバやチャイムが仕方なくはみ出るイメージくらいな気がします。少なくとも「基本の太鼓類だけで3列セッティング」というのは見たことがないんですがみなさんはいかがです?

続けます。
あと余っているのはどらとチャイム。

どらは…。
だいたいちゃんとしたポジションを与えられずになんとなく後ろの方に追いやられているパターンがほとんどかな?笑

percussion-setting-setting-sheet-14

この辺。

後ろに上げるパターンだと見栄えもとても良くて奏者もバッチリ写りますがこの場所だとそれは叶いませんね。僕は個人的にどらの音は注意深く聴くようにしているので、叩き方ももっと観察したいところではあるのだけど。

チャイム。

チャイムはバンドによって超差があります。

だいたい2パターンで、

percussion-setting-setting-sheet-15

この辺りか

percussion-setting-setting-sheet-16

ズバリここ。

これも僕はどちらも同じくらい経験があります。個人的には、

  • 演奏するときで好きなのは前者(中)
  • 聴くときで好きなのは後者(手前)

みたいな感じでしょうか。

理由はそれぞれ、

  • 客席近いと怖いw
  • 抜けの良いスコーンとした音が期待通り聞こえる(うるさくないの前提)

です。ふざけてるように見えるかもしれないですが、奏者の精神状態に関わるならそれは重要な要素だと思います(言い訳)

ただしこれもホールによるのでなんとも言えませんね。最初は手前側に置いてたけどあまりにもうるさいので内側に移動した、というケースは幾度となく見てますし。

ここは答えを出すのが難しいので…。

percussion-setting-setting-sheet-17

チャイムにはシュレディンガーの猫になってもらいましょうww

最後、ドラムセット。

percussion-setting-setting-sheet-18

ここですよねえこれは!

まあ

  • ド真ん中に置いた方がいい

とか

  • 一番上だろ!!

とかあるかと思いますが、そうですね、全面的に賛成します。

もうドラムセットは奏者に選ばせてやれ、と思います。選ばせてくれないなら選ばせてもらえるくらい発言権を持てるように上手くなれ、と言いたい。そんくらい好き勝手やっていいパートでしょう、ドラムは!?(違う)

真面目なことを言うと、僕は吹奏楽サウンドの中に入り込んで叩けるドラムが大好きなので、「なるべく中心に居たい」というのがあります。一番上で支配欲にまみれるのもいいけど、やっぱり

percussion-setting-setting-sheet-18

このあたりがベストかなー!と。

ベースの人もこっち側に来てくれるパターンが多いでしょうし、ドラムが真ん中にいると管楽器の人も安心して吹けるでしょう。ここはこれがいいかな、と。

以上で全部置いたでしょーか!

まとめるとこうなります。

percussion-setting-setting-sheet-19

1人だけ分身している頭のおかしいやつがいますが触れないでおきましょう。

はいはい、どうでしょう。みなさんそれぞれのご経験によっては異論があると思いますが、そういう意見をぜひお聞きしたい!と思います。コメントお待ちしてます~

ちなみに後ろ側に打楽器を置く場合は、そんなにセッティングのバリエーションはないと思います。

多くは

percussion-setting-setting-sheet-20

のような感じじゃないでしょうか。もちろん左側の細々としたものは状況によりけりです。

ティンパニがいませんね。ティンパニはこの並びの中でバンドによってどっかに入り込むというのが一番良い説明な気がします。

多いのは

  • 中央
  • 右端
  • ひな壇下段(いつもと同じ)

でしょうか。ここは僕にあまり経験がないため詳しく比較できないので今回はこれくらいでご勘弁を!

結論! 「好きにしろ。」

さあ来ました。全てをぶち壊すまとめ。

好きにしてください。

 

お気付きかと思いますが、結局今回紹介した配置は僕が一番経験が長いものなんですよね、実は。

つまり人によって好みが変わるのは当然なわけです。経験が長いもののほうが慣れているししっくりくるに決まってます。
(でもそうならないようになるべく客観的な視点でメリット・デメリット出しをしたつもりではいますけど!)

というわけでこの記事は「僕がただこれまでの思い出を振り返りながらセッティング図を書く」というものだったわけです。読んでいただいたみなさんにはかける言葉もありません(最低)

「そういやセッティング係でいつもセッティング図書いてたな」なんてことを思い出しながら、今回はこの辺で終わりたいと思います。

ありがとうございましたー!

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

この「みるめも」というブログの筆者です。

この記事へのコメント
コメントはまだひとつもありません :)

新しいコメントを書く

  • 必須項目はコメント本文のみですが、お名前はぜひご記入いただけると嬉しいです。
    ※メールアドレスを書いた場合も公開されることはないのでご安心ください。
  • 特定のコメントに返信したい場合は各コメントにある「返信する」ボタンからどうぞ。
  • コメントはこちらで承認の作業を行うまでは表示されません。ご了承ください。
    ※ここ数年スパムが激化しており、誤って削除されてしまうケースが増えてきました。スパムボックスも毎日自分の目で確認するようにはしているのですが、どうしても限界があります。確実に僕に連絡を取りたい方は メールTwitter からお願いします。