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約束のネバーランドを読んだ:漫画としてはとても好きだけどメタ的観点でひたすら惜しい

約束のネバーランドを読んだ:漫画としてはとても好きだけどメタ的観点でひたすら惜しい
みるみ
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みるみ

ブロガー、エンジニア。

文章を書くのが好きです。

ガンガンネタバレしてます。今回ばかりは「おすすめしたいから記事書きます」ではなく「どうしてもこの思いを発信してみんなの意見を聞いてみたい」なのでご勘弁ください。まだ読んでない人は絶対この記事は読まないでね。

 

約束のネバーランドという漫画を読んだ。

面白い。とても面白かったし間違いなく僕好みで趣味ド直球な脚本やキャラクターテイストではあったけど、後半から人生で色んな漫画を読んできた経験が邪魔してきたせいで心から楽しめなかったのが悔やまれました。

もっと具体的に言うと、

  1. n番煎じに見えてしまった展開が多くて自分で悲しくなった
  2. 大人の社会的都合を感じた(真偽は知らんけど)
  3. ストーリーの性質と風呂敷を畳むスピードの話(後述)

という感じ。

シンプルにこの3つそれぞれについて話してみたい!

いつも通り、もし読んだことがある方はこの意見に対してどうお考えになったかコメントいただければ嬉しいです。

まず普通に感想:かなりおすすめしたい!特に序盤はたまらん

とりあえず最初に普通の感想を書いておく。
改まるほどのことではないのだけど、まあとにかくめっちゃ面白い漫画であることに間違いはないよね。

僕が今回伝えたいと思っている「惜しいなぁ…」の部分さえなければ、たぶんおすすめ漫画記事とかに普通に追記して終了!みたいなレベル感だったと思う。

上記記事でも露呈しているけど、僕は天才たちが繰り広げる緻密な心理戦・知略戦が大好きなのでこのストーリーテイストは好みドンピシャでした。

約ネバと全然関係ない映画を見に行ったときに、映画化された約ネバの予告編が流れたのを見て「このストーリー面白そう!(映画は邦画でめちゃめちゃつまんなそうだけど)」と思ったのがきっかけでした。

グレイス=フィールドを出るまではまさに手に汗握る展開の連続で「これは…!!」と思いながらストーリーを追いました。

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©集英社

特にシビレたのはレイの二重スパイ。
あの辺は予想外の連続だったので「え…?」ってなりながらどんどん進んじゃったな。

 

しかし思いのほか脱獄は早めに成功し、それでいながら単行本の20巻のうちまだ5巻までしか進んでいないということに不安を覚えました。

普通なら「こんなおもしれぇ漫画があと4倍も読める!」ってなるところですが、「まだ見えていない世界観の大きさが未知すぎるのにあと15巻しかない」というところに不安を覚えました。これは今回の3つめの風呂敷の話に相当します。

さらに。

これは「脱獄モノ」のジャンルに入ると思うんだけど、こういうタイプって脱獄するまでしか元々の構想がなくてそれ以降は濃密さが失われるケースが多いのでそこがかなり心配でした。プリズンブレイクとかその筆頭だよね。

実際に読んでいるときは脱獄以降をつまらないと感じたことは特になかったんだけど、結果的にはこの予想は当たっていたなという感覚です。今回の記事全体に繋がってます。

ちなみに制作背景として

白井が技能試験勉強をしていた頃に描いたノート2冊分(300ページ)のネームがプロトタイプである。これには本編のGF脱出までに相当する部分が描かれており、

という情報が知られているらしいので、実際にもそうだったみたいです。

漫画に限らないけど、フィクションを考えるとき一番最初にコンセプトの中心に据えた部分以外の割合があとから大きくなってしまうとどうも趣旨がブレてしまうという懸念があると思います。

作者さんは別に「脱獄モノ」にするつもりはなかったのだと思うけど、なんか僕はそれが引っかかっちゃったなーと。

みるみ
みるみ

でも「グレイス=フィールド出たから連載やめます!」とか無理だもんね。この辺は2つめの話かな。

感想はこれくらいにして、次からがさっきから言っている「メタ的観点で惜しいと思ってしまった3つ」についてです。

1.n番煎じに見えてしまうシーンや展開が多すぎた

最初に言っておくんですけど、これは「n番煎じが多すぎんだけど!」という約ネバに対する文句なんかでは全くなくて、そう見えてしまう自分がただただ悲しかったという話です。次の2つめも同じです。

言いたいことは、簡単に言うと「他の漫画と同じことをやっているように見えるのが多かった」ということでした。

みるみ
みるみ

なんか自分でもこの文章を書いていて本当に嫌になっちゃいそうになるんですんけど、間違っても約ネバを低評価したいわけじゃないです。ホントに。むしろ「好きなのに…!」っていう思いを伝えたい。

中盤から僕が感じていたのは「鋼の錬金術師」でした。

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@集英社

読んだことある人、マジで思いませんでした?

  • 「約束」に対する「真理」(約束の空間と真理の扉ルームの見た目も辿り着き方も概念も似すぎでは?笑)
  • 「ごほうび」に対する「等価交換の代価」
  • 最後都市の中心に向かってストーリーとキャラクターが集約していくところ(まさか都で王と対決!という展開になるとは思いませんでした)
  • あとから世界観の謎解きと伏線の回収が進んでいく感じ(これ単体ではネガティブなものではないけど)

という感じかなあ。

僕はハガレンが大好きだし、その意味から言っても約ネバとしてのこの展開ももちろん好きではあったのだけど、「なんで明らかに似せていると言われそうなくらい同じような描写をするんだろう」と思ってしまって全然ストーリーに入り込めなくなっていってしまったんですよね。

ハガレンの連載時期はかなり昔で、なおかつ相当の人気作品であることは周知の事実だし。

これが「んっ?」のきっかけでした。

これよりもっと前、グレイス=フィールド脱走直前あたりからは実は「進撃の巨人」を思い出してました。

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@集英社

抵抗する手段を持たない "か弱い存在" である人間が正体不明の残虐な生命体に立ち向かっていくってのはまさに進撃を彷彿とさせる。しかも四方を取り囲む印象的な「壁」もあったよね。

なんか、「単にちょっと同じ要素があるだけじゃん、てめぇの言いがかりだろ」って言われたら今はちょっと返せる言葉はないんですよ。

これがまた難しいところで、読んでいるときはたしかに「色んな漫画が頭をよぎるせいでピュアに約ネバを楽しめない」ということが嫌だったはずなのに、今同じくらいの説得力でみなさんにお伝えできるかというと僕も自信がなくなってしまいます。

ただこれも感想として1つここに残しておけばな、と思った次第です。

1つめの話はシンプルでこれだけ。

2.大人の社会的都合を感じてしまった

この2つめの件は簡単に言うと以下の2つに集約されます。

  1. 完結に向かわせるスピードは本当に作者さんの意図通りだったの?
  2. 想定していたストーリーを阻まれてジャンプっぽい展開を強いられたりしなかったの?

です。

完全に憶測だけでモノを言うのはすごく怖いので嫌なんですけど(特にネット上でね)、これは単なる僕の感想の一環と思ってほしい。再三の前置きで申し訳ないのだけど。

ただねー、ここまでこの2つを強く感じた漫画は初めてだったのよ。最近のジャンプ作品を全く読んでなかったからっていうのもあるかもしれないけど。

みるみ
みるみ

逆ミーハーなので鬼滅もいまだに全く知らないぜ!主人公の名前の読み方知らないぜ!

「孤児院の皮をかぶった人間飼育所から脱獄する」というめちゃめちゃ面白いコンセプトを最初に置いてしまったせいで、実際に脱獄が成功してしまうとその後はよほど面白い展開を用意していないと読者は離れていってしまいます。さっきも似たようなこと言ったけど。

…という状態で、いよいよ「これ最後はどうなるんだ?」と思い始めてからの終わりへの速さがいくらなんでも速すぎると感じました。

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@集英社

「スピード」とはつまり「濃密さ」であって、5巻までで描ききったあの濃さの展開が終盤は全然維持できていなかったと思ったんです。

全然納得感のないまま次から次へと新しい要素が登場し、感情移入できないままそれがいつしか大事なキーパーツになっていて気付いたら終わっているみたいな。これは「映画におけるラスボスの顔をどのタイミングで初登場させるか」の問題と似ています。

みるみ
みるみ

あ、僕が勝手に提唱している問題ねこれ。笑

それら諸々を鑑みると、「なんか本来とは違う展開によって手短な完結を強いられているのではないか」と思うようになってしまったというわけです。

どうもドライで、「はい!ここは終わり!次!」みたいなのが連続するというか…。
読んでいた当時の感覚を上手く言語化できないのがもどかしい。

 

実際にこの記事を書き始める直前に約ネバのWikipediaを読んでみたら、

担当編集者は連載前から「20巻以内に終わる漫画」を目指していたという

と記載がありました。

原案の作者さんがどれくらいの脚本ボリュームを目指していたのか、もしくは不本意なストーリー展開があったのかとかは全く分からないけど、僕にはこの事実が悪い方に感じられてしまいます。

武道会ネタじゃないけど、特にジャンプは編集部の指針で

  • 展開
  • 連載期間

にメスが入ることが多いです。これは昔からそうなので紛れもない事実でしょう。打ち切りは「人気が出なかった」とかあるかもしれないけどさ。

最後にもう一度まとめておきますが、

真偽は全く知らないけど「漫画の方向性に対して第三者の介入があるんじゃないか」という(余計な)メタ的視点が邪魔をして後半は楽しむのが難しかった

というのが2つめの話でした。

3.ストーリーの性質によって決まる風呂敷を畳むスピード

これも僕がフィクションに対して考えている1つの持論みたいなやつなんですけど。

ストーリーというのは風呂敷を広げるフェーズとそれを畳むフェーズに分かれるはずなんですよ。これは伏線を散りばめる段階と回収する段階と言い換えてもいい。

この2つが絶妙なバランスの上に成り立ったとき、そのフィクションは爆発的に面白さが倍増すると思ってます。

ただ1つ問題があって、ストーリーの中身によってこの「どれくらいのスピードで風呂敷を畳むか」が決まってきてしまうことがある(と思う)んです。

今回、約ネバはこれの制約を受けているように感じました。

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@集英社

まず大きかったのは、「壁の中の孤児院」というまわりの世界が全く見えないところだけでスタートしていたことに対し「鬼」というあまりにも非現実的な要素が存在していたこと。

最初は完全に常識的な世界だけが描かれるので、「鬼」の存在に対しては相当大きな説得力が必要になってしまいます。さらに壁で囲われている分「まわりに世界があるのかすら分からない」というところからのスタートです。これを回収していくにはかなり大規模なセッティングが必要になっちゃうんじゃないだろうか。

となると、今回は「風呂敷を広げていった段階よりもゆっくりなペースで畳んでいくべきだったタイプ」に思えます。もちろんスピード感的にはダラダラやってちゃダメだけど、読者がしっかり納得して一歩ずつ進める展開もアリだったのではないかと思ったんです。

この点、例えば進撃の巨人は最初の1ページ目に巨人を象徴的に描いているおかげでこの問題を上手に回避していると僕は思います。

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@集英社

この時点で僕らは「巨人というものの存在を認知して世界観の最大値をだいたい理解していた」から。

 

で、言うまでももなくこの話は前述の「本来意図していた展開スピードと違うことになってたりしないの?」の件とも密接に関わり合ってます。

「え、もっと納得感たっぷりに世界設定の答え合わせとかやってほしいのに、いきなりこんな急展開…?」

の連続になってしまいました。うーん、ここが一番惜しいと感じた…!

みるみ
みるみ

七つの壁のところでレイが見開きで老化したシーン、僕としてはかなり衝撃だったのだけどあの部分すら結局なんてこともなくスルーっと抜けちゃったよなー、とか。

ただ実を言うと、ストーリーの個々の要素に対する納得感不足もあるにはありました。

  • ノーマンが出荷されたあとのエマ(とレイ)がこれまでから考えると計画のためとはいえすぐに立ち直って行動できるのは不自然(僕らはノーマンが生きていそうなことは分かるけど、なんかそれがエマたちにも前提になっているように思えてしまった)
  • "約束" したのになんで人間の養殖は認められてんのよ
  • エマは「自分以外の兄弟が "記憶のないエマがいるなんてツラい" と思う」と思わなかったのか

とかとか。

ただまあこの辺は重箱の隅をつつくに近いし、そもそも僕はこういう細かいところは普段一切気にならないタイプなのでたぶん「余分に気になっちゃったやつ」です。

ついでだけど「ちょっとこれはもう12歳の子供の範疇からはかけ離れすぎているのでは」と思ってしまうことも増えました。これはさらに個人的な文句に近づいちゃいそうなので自分でもあまり言いたくないんですけど…。

まあでも、読んでみたあとに思うのは「読んでよかったな!」というのがシンプルにあるだけです。
20巻って厚さだけで言えばかなりちょうどいいボリューム感だし、本当に面白かったとは思います。

というわけで3つめは「終盤に向けての納得感不足」の話でした。

結論:すっごく面白かったのに読了後は言葉にできないもやもや感

だから「結論としてはすごくおすすめしたい漫画だよ!だけど…」という "but" がついてしまう感じが今回のもやもや感であり、記事にしたい部分でした。

みるみ
みるみ

でも今思うと、この「底抜けにスカーッとしているわけじゃない物語」って意味では約ネバらしいのかもね。

ちなみにこのもやもや感には単純にストーリー的な結末も理由として含まれています。

僕「主人公だけ帰ってこない」系の展開は胸が苦しくなって泣いてしまうのでわりと勘弁してほしいと思っているタチなんですけど、それで記憶まで消えてるってなるとなんかもう夜も眠れなくなっちゃうよ。

実際この日の夜は次の日普通に仕事なのに明け方まで読みふけってしまって、すぐ寝たいのにエマのことを思うともう気が気でなくて…。

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@集英社

この展開はずるいよ。さっきもちょっと書いたけど「もっと違う展開あったんじゃないかな」って、最後だけはストーリー自体に疑問が湧いてしまいました。で、それも早期完結のためで実際には作者さんに不本意な部分があったとかだったらさらにキツイなと。

でも、とにかく良かった。

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@集英社

例えばこういうシーンがもう超好きだった。っていうか僕はレイが好き。いいよね。
こういう漫画をゼロから読めたこと、これは何より嬉しかった!

おわりに

1つの漫画の感想に記事を書いたのは初めてだったけど、やっぱりエンタメに対する感想っていうのはブログの本質だなとちょっと思いました。僕の感想は僕にしか書けないので(偉そうなことを言いたいわけではなく、オリジナルのコンテンツになるなという意味です)。

単に消化したエンタメコンテンツに対して筆が乗ることはあまりないですが、今回の約ネバみたいに何か強く思うようなことがあったら、また記事にしたい所存です。

おわりっ!